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第2回アイデアソン・ハッカソン 会津若松のレポート(その3~ハッカソン)

こんにちは。Hack For Japanスタッフの石野です。

5月にHack For Japanのアイデアソン・ハッカソンというオフラインイベントが全国で開催されました。
私は福島県会津若松会場でのイベント運営をお手伝いしてきましたので、ここで報告させていただきます。

この文章は、前々日アイデアソンの投稿の続きになります。

5月23日日曜日 ハッカソン

イベント二日目の朝、会津若松はかなりの雨でした。
会津大学の学生の多くは自転車で通っているためか、集まりはゆっくりでした。

スロースタート

仲間に電話をかける姿もちらほら見られたようです。この日はすぐにチームごとの作業に入るため、それぞれのチーム内での合意が出来ていれば大丈夫です。

今日のハッカソンで開発することになったプロジェクトは次の通りです。

プロジェクト名朝の参加今日の目標
風評をふっとばせ隊2人サイト公開
行政情報公開1人提案作成
クラスメイトファインダー&コミュニケーション3人設計
あいづっぽ(ボランティアマッチング)4人サイト公開
放射線関係(API)2人完成
放射線関係(デバイス)3人完成

今日はどこまでやろう?

この会場には開発者ではない人、低学年の学生の参加も多かったのですが、それぞれのチームはメンバーの知識や経験をもとに目標を設定してくれました。
自分たちで見積もるのが難しくても、経験のあるスタッフが助言していました。
コードを書くだけではなく、企画書や提案書を作成して、興味があって作ってくれる開発者を募集するような考え方で参加するやり方もあるのではないかと思いました。

会津若松会場の作業のようすを写真で紹介します。写真は他にもあります

クラスメイトファインダー&コミュニケーション

風評被害をふっとばし隊

あいづっぽ

ガイガーカウンター製作中

テレビの密着取材


他チームとも相談しながら進めます

放射線関係

お昼前に、びぎねっと宮原さんが会場を訪問してくださいました。オープンソースカンファレンス特製トートバッグをいただきました。ありがとうございました。


宮原さん

私も自分のプロジェクト(放射線マップアプリとPDF関連)を進めようかと思っていたのですが、お昼がやってきました。

昨日は準備に追われ、会場でお弁当を食べました。でも今日こそは会津若松の名物を食べに行くのです。

名物ソースカツ丼

……並盛でも、もの凄い量でありました。巨大なカツが飯を覆い、食べ難いときは、蓋にカツを退避するとよいとのティップスをいただきました。福島は米処でもあり、美味しいご飯をたくさん食べるそうです。

ソースカツ丼にも、いくつかのスタイルがあるのですが、ご飯に千切りキャベツを敷き、ソースを掛けた豚カツを盛りつけるというものが会津流です。
カツの下に千切りキャベツを敷くのはここが発祥らしく、伝統会津ソースカツ丼の会というものがあります。
作法とパターン、取り巻くコミュニティ、これはソフトウェアと同じではないだろうかと考えていると、隣では「アダムスキー型」が目撃されていました……

昼食後にプロジェクトの進捗状況を発表する予定になっていましたが、作業を続行することになりました。
みなさんリフレッシュして、開発を続けてゆきます。テレビの取材もありました。

17時になり、今日の開発作業は終了です。それぞれの会場で成果発表会が始まりました。

各チームがこの二日間の成果を発表し、各会場から一チームを代表として選出することになっていました。会津若松会場からは6チームが発表することになりました。

これは5分間ずつのライトニングトーク形式で行われました。ぜひ録画をご覧ください。


<a href="http://www.ustream.tv/recorded/14881566" class="broken_link" rel="nofollow">Ustream動画</a>

まずは「風評被害をふっとばし隊」の発表です。

風評対策には確実な情報を提供して消費者に安全・安心を伝えていくのが確実な道である。
そのために、元気米作りをサイトで紹介してみようということになったそうです。
発表された江川さんのお宅は篤農家(とくのうか:熱心で研究的な農業者)で、放射性物質対策の農法を色々と試行されています。
その農法の一つに、ボカシという有機物を発酵させた肥料の使用があるそうです。
作物に様々な物質が含まれているボカシ肥料を与えることで、放射性物質が作物に取り込まれることを防ぐそうです。
また、ガイガーカウンターによって放射線量を実際に測定しながら作業をされています。
江川さんの田圃では測定される放射線量は少ないとのことですが、念のために水道水で苗を育て、水路に吸着剤を敷いています。
さらに、検査機関に土壌と収穫した米の分析を依頼する予定とのことです。

このプロジェクトは、へちまインターネットさんがサーバーを提供され、元気米プロジェクトとして公開されています。

風評被害をふっとばし隊

次は、「クラスメイトファインダー&コミュニケーション」の発表です。

避難によって友達と離ればなれになってしまった児童たちが福島県にも多くいます。
このプロジェクトでは、学級便りのような感覚で、離れた場所にいる友達と繋がっていられるサービスを開発しました。
このサービスを使えば、自分のクラスメイトの近況がわかり、校長先生からのビデオレターなどを読むことができます。
また、新聞のように印刷することも可能なレイアウトを検討しているそうです。


クラスメイトファインダー&コミュニケーション

次は、行政情報公開「100年使える震災WEBサイトテンプレート」の発表です。

このチームは前日には5人いたのですが、今日は1人だけの参加となってしまい、企画書の提案をしようということになりました。
1995年の阪神・淡路大震災、この東日本大震災の教訓を活かして、災害の際に必要となる情報を統一された構成のテンプレートとして整備し、ソーシャルな情報と連携する。
また自治体ごとの更新情報を集約するサイトを構築して、情報の一覧性も確保するようなことを提案しました。
この集約サイトによって他の自治体との状況の比較ができ、自治体の上層部に働きかけて公開が促進されることも狙っているそうです。

行政情報公開

続いては、「あいづっぽ(ボランティアマッチングサイト)」。仲良くメンバー全員による発表でした。

この震災では、ボランティアをしたくても募集の情報が見つからない、参加が現場で対応しきれないなどの問題があったそうです。
このような問題を解決するために、あいづっぽは学生の視点からボランティアマッチングの仕組みを提案・開発しました。
まだ完成はしていないということでしたが、ログインとボランティア情報の登録、参加という基本機能は実際に動作していました。
これから実装したいこととして、Twitter、mnews(学内ニュースグループ)などのソーシャルなサービスでニーズを広めることや掲示板などのコミュニティ機能を追加することを計画していました。

あいづっぽ

次に、放射線関係です。

このチームは大人数で放射線情報に関係するシステムを開発しました。
これは情報の収集、蓄積と利用、情報の提示の一連の領域にわたるものです。
まず、手動でガイガーカウンターの測定値をサーバーに登録するAndroidアプリケーションを高校2年生が開発しました。
それを自動化し、ガイガーカウンターからBluetooth経由でデータを自動的に送信するシステムも開発。
そしてサーバーに蓄積されたデータを利用することができるAPIを準備し、APIを呼び出して情報を地図上に表示するという一連のデモを見せてくれました。


放射線関係のチーム

最後に、先進的な放射線測定器の紹介がありました。

かつて携帯電話型の放射線測定器があったそうです。価格などの情報は見つからないので販売はされていないのではないかということでした。

後ほど私が、ベラルーシにある販売元に問い合わせてみたのですが、携帯電話のモデルチェンジに合わせて測定器の外装設計をやり直すのは大変なので、BluetoothかIRでPCと連携するモデルに移行したとのことです。この会社では腕時計型の測定器なども販売しています。

携帯電話型の放射線測定器の紹介

すべてのチームの発表が終わると、代表の選出に入りました。
投票のルールは試行錯誤したのですが、会津若松会場からは放射線関連チームが選ばれました。

代表の選出

各会場の代表が決まると、それぞれの会場を中継しての発表が始まりました。

高松は会場を閉める時間が早かったため、残念ながら同時中継には参加できませんでした。

高松の発表の録画はここにあります。

(Sahana関連、音声読上げのWebサービス、Bluetoothによるチャット、感電水冷服、ガイガーカウンターとAndroidの連携について発表されています。)

東京会場からは『復興イイネ』チームが発表しました。

これは復興を支援しているサイトにボタンを設置し、ソーシャルに評価してサイトを相互に結びつけるようなことを狙ったサービスです。
ユーザーから高い評価を得たサイトは、投票結果ページで目立つようになるそうです。

東京会場の録画

仙台会場からは『復興時計』というプロジェクトが発表されました。

震災から復興してゆく風景を刻々と表示することで風化防止を狙ったものです。これはAndroid版とiPhone版のプロトタイプが作られました。

次は福岡会場からの発表で、『donatter(どねったー)』です。

このプロジェクトは3月21日、最初のハッカソンから開発を続けているもので、今回はAPIの機能拡張を実施したそうです。
義援金や献血などの貢献の様子を可視化することで、楽しみながら支援を続けられるようにすることを狙ったサービスです。Android版とiPhone版、Webアプリ版のプロトタイプが作られていました。

福岡会場の録画

そしてここ会津若松会場から、ガイガーカウンターチームの発表が始まりました。
この発表ではハードウェアと連携する動作もビデオで中継でき、離れた会場にも臨場感が伝わったと思います。
このチームは手がけている領域が広く、短時間での発表が難しいのですが、うまくまとめて良い発表をしてくれました。

どのプロジェクトも素晴らしい成果だったと思います。開発者のみなさん、おつかれさまでした。

もうすぐ、二日間のイベントも終わりです。

スタッフの及川さんからのあいさつがありました。


今回のイベントでは放送の中継など、多くの準備不足がありました。
ですが私たちにも、何が正解かが分からないので、試行錯誤しながら進めているところなのです。
Hack For Japanには強固な仕組みはまだないのですが、開発者が復興へ向けての思いを一つにするような活動になってきていると思います。
この活動を継続していくために、みなさんの更なる協力をお願いします。
今回のイベントにご協力いただいた方々、ありがとうございました。

私も自分のプロジェクトを進めることと、よりよい運営のために努力を続けたいと思いました。

続いて、協賛していただいている会社からの書籍がもらえるジャンケン大会を開催しました。オープンソースカンファレンス特製トートバッグも追加です。

ご提供いただいた書籍は、翔泳社さん「10日でおぼえるAndroidプアリ開発入門教室」、日経BP社さん「クラウド活用のためのAndroid業務アプリ開発入門」、技術評論社さん「Software Design」でした。ありがとうございます。

ジャンケン大会

最後に、会場の産学イノベーションセンター(University Business Innovation Center) 前で集合写真を撮りました。終了後しばらく経ってからだったので、帰ってしまった方もいるのが残念です。初日も撮ればよかったなと思っています。

会津大学 産学イノベーションセンター前

今回のイベントでは、開発を本分としていない人も多く参加されていました。
実際にはアイデアソンでの意見の交換や、ハッカソンでも企画を提案するなど、開発者ではない方の協力が必要なことも多くあります。
これからもそういった方々に積極的な参加を呼びかけてゆきたいです。

実際に現地を訪れてみて、地元の人の話を聴くことには代えることのできない価値があるのだということを実感しました。
肌で状況を理解するということだけではなく、人と会って話すことで生まれたものがありました。
震災支援のシステムを遠地から開発されている方は、現地での使用状況や、地元の人の顔を思い浮かべながら作業をされてみてはいかがでしょうか。

また、会津若松は風評によって観光客が激減しているというようなこともあります。
自然があり、歴史と美味しい食べ物もある会津若松をぜひ訪れてみてください。

今回は大規模なイベントを開催して成功させることができました。
これほど大きなイベントでなくても、着実に活動を続けてゆくことが大切だと思っています。

今回のイベントに参加してくださった方、ご支援くださった方に感謝します。
どうかこれからもHack For Japanへのご協力をよろしくお願いします。

Hack For Japan スタッフ 石野正剛

第2回アイデアソン・ハッカソン 会津若松のレポート(その2~アイデアソン)

こんにちは。Hack For Japanスタッフの石野です。

 

先の週末にHack For Japanのアイデアソン・ハッカソンというオフラインイベントが全国で開催されました。
私は福島県会津若松会場でのイベント運営をお手伝いしてきましたので、ここで報告させていただきます。
この文章は、初日の投稿の続きになります。

 

5月22日土曜日 アイデアソン

 

今回のアイデアソン・ハッカソンの会場は会津大学です。会津大学はコンピュータ理工学の単科大学で、卒業論文は英文で執筆するそうです。
この日のイベントは他の三会場とのUstream中継をしなければならず、準備には手間取りました。

 

10時になり、各会場でのごあいさつが始まりました。会津会場では運営をお手伝いしていただいている、Gclueの佐々木 陽さんにお話ししていただきました。

 

Gclueの佐々木さん

 

そしてセッションが開始されました。

まずは東京会場から助け合いジャパン藤代 裕之さんの中継です。

この震災では、ボランティア情報のマッチングが大きな課題となっているそうです。「被災地の受け入れ態勢が整っておらず、ボランティアに行くことは迷惑になってしまう」などの説が流布してボランティアが自粛されるという動きができてしまっていたようです。ところが、被災地ではボランティアが足りないという事が起こっていたそうです。
助けあいジャパンは被災地の情報拠点やNPO・NGOから寄せられたボランティア・ニーズを収集し、API配信しているそうです。このAPIを利用したアプリケーションの開発を訴えられていました。

参加者の中にゴールデンウィークに11日間も現地での活動に参加していた方がおられ、意見が上げられました。この災害に関連する情報は、場所や時間が異なると状況も変わり、一概に扱えるような種類のものではないということが示唆されました。

Hack For Japanのグループにこの方からの投稿がされました。

 


できるだけ沢山の方に被災地でのボランティア活動をして欲しいと思っています。ただ、そのための仕組み作りはまだまだ改善の余地があります。準備もせずに単にたくさん押しかけても、社協の方などの時間を取るなど、迷惑になる可能性があります。今回の震災のボランティア活動は数年から、10年、20年とかかるとおっしゃる方がいました。息の長い活動をぜひ多くの方にして欲しいと思っています。

 

 

藤代さんの活動はこちらの記事でも詳しく紹介されています。香川会場に参加された、鎌玉大さんから教えていただきました。

ITmedia – 現場ルポ・被災地支援とインターネット

 

 

<a href="http://www.ustream.tv/recorded/14845379" class="broken_link" rel="nofollow">Ustream動画</a>

助け合いジャパンの藤代さん

 

続いても東京会場からの中継で、ニッポン放送の吉田尚記アナウンサーにラジオ番組とHack For Japanとの連動企画についてお話しいただきました。

この番組は、ニッポン放送 オールナイトニッポンGOLDapp10.jpというものです。app10.jpは「スマートフォンで人と人とがつながることで、幸せが生まれる。アプリは、人を幸せにする。」というテーマで一月ほど前から始まっていた番組です。

吉田尚記アナウンサーは20年来の文系Geekで、最近のスマートフォンブームに、「やっと時代が追いついてきた、機は熟した」と、この番組の企画を提案されたそうです。

Ustream、ニコニコ動画、Twitterなどと連動して、リスナーとの結びつきが強いようです。

 

<a href="http://www.ustream.tv/recorded/14846685" class="broken_link" rel="nofollow">Ustream動画</a>

ニッポン放送の吉田アナウンサー

Hack For Japanとの連動と、前日の及川さんのラジオ生出演のことを紹介(前日のブログ記事)して、ダジャレ・クラウドのアイデアが良いのではないかと紹介されました。

さっそく、会場から手が挙げられました。これからメンバーを募集し、ダジャレ・クラウドの開発が始まりそうです。

こちらの会場の参加者からも質問がありました。東京と中継するのにUstreamとSkypeではうまくいかず、結局は電話で話すことになってしまいました。

会津若松でプロバイダーを経営されているへちまインターネット馬場さんです。「被災地の人は川柳を作って非常に元気になった、川柳というのは高級なダジャレである」という前振りのあと、「会津で一番問題になっているラジオアクティビティ(放射能)の風評被害を収めるためにラジオにがんばってもらいたい」と披露していただきました。また、サーバーを提供してもよいとのお申し出をいただきました。

へちまインターネットの馬場さん

福島県は原発事故による被害があり、放射線に関する問題は切実なものです。

私もこのことは実感していて、私が開発している携帯アプリはメールを送るボタンを付けているのですが、現地の方々からの声は多く寄せられてきています。

この日のイベントでは「Open Geiger Development Kit」という放射能計測開発プラットフォーム発表がされました。
これは、ガイガーカウンターによる計測値をAndroidを介してクラウドでシェアするというオープンな取り組みです。
シーエーの寺脇 勝彦さんがArduinoとBluetoothによるハードウェアの説明を担当され、Gclueの佐々木さんがAndroidとクラウドによるソフトウェアの説明を担当されました。

 

シーエーの寺脇さん

 

プロジェクトのページ

プレゼンテーションの資料

今回のイベントには原発の近くに住まわれている人も参加されており、このセッションへの関心は非常に高いものでした。

昼食を終えると、仙台会場のHack For Japan 西脇さんからの報告がありました。

西脇さんはマイクロソフトのエバンジェリストで、Hack For Japan の運営スタッフでもあります。地震直後から非常に積極的に被災地の支援を続けられています。いくつもの貴重な経験談が話されましたが、IT技術で解決できることも多くあり、ITの技術を持った人が現地で解決できることも多々あるとのことでした。たとえば、情報の専門家がいれば、それによって労力を削減できて効率的にボランティアの活動ができるというようなことです。現地には情報の専門家が足りないそうです。こちらの皆さんも頷きながらスクリーンを観ていました。

 

 

仙台会場のHack For Japan 西脇さん

 

 

 

次は「会津若松市の状況」を会津若松市災害対策本部の目黒 純さんにお話ししていただきました。

会津若松市内での建物などへの被害は比較的軽微で、西風のために市内では放射線量も少なく、風評による被害を防ぐために正しい情報の周知が必要であるとのことでした。市内の避難所の状況については、多いときは830人の避難者がいたが、今では100人以下であるということ、本部と避難所の情報共有は紙を毎日配送することでも行われていたということでした。指定の避難所以外に居住している避難者への情報提供手段が非常に限られているということが課題だそうです。ラジオの有用性はここでも報告されていました。

目黒さんはまた、OpenOffice.orgの導入と活用を進める活動をされています。

会津若松市では、全庁のPCに「OpenOffice.org」を導入し、文書ファイルにODF形式を採用しているそうです。

会津若松市の取り組み―オープンオフィスとODF形式文書を導入しています

 

 

会津若松市災害対策本部の目黒さん

 

 

そして「避難者を地域で長く支える元気玉プロジェクト会津つなプロ)の活動紹介とそこから見えた避難者の課題」を株式会社明天の貝沼 航さんにお話ししていただきました。

「元気玉プロジェクト」は会津地域にいる避難者の「安全な自立」に向けた長期支援の仕組みづくりに取り組んでいるそうです。
地震後、避難所の食料事情が整っていない3月17日からの約20日間に150名のボランティアがメッセージとともに26,000個のおにぎりを届けたそうです。今では社会福祉士、看護学校や短大の学生が中心になって結成された「巡回ボランティア」が、避難所を訪問して避難者の困りごとを調査し、解決と結び付ける活動を中心に展開されているそうです。会津若松には他の市町村から避難してきて、二次避難所にいる人が4,000人弱いるとのことです。

 

 

元気玉プロジェクトの貝沼さん

 

この後のディスカッションのテーマを募集する段階では積極的な話し合いがなされました。

 

 

<a href="http://www.ustream.tv/recorded/14850142" class="broken_link" rel="nofollow">Ustream動画</a>

目黒さん、貝沼さんのお話しとディスカッションのようす

放射線に関連する活動を活発にされている、テレジャパンの宗像さんが、位置情報をベースにした被曝量の算出などの被災者支援の仕組みがあればよいのではないかと提案されました。宗像さんは、ふんばろう東日本支援プロジェクト福島支部で市民による放射線測定のネットワーク作りにも努力されています。

 

テレジャパンの宗像さん

 

会津若松市のIT産業振興担当の江川さんは兼業農家でもあり、ご自身の田圃での放射性物質を防ぐ工夫を紹介していただけることになりました。また風評被害対策のためのウェブサイトを立ち上げることをプロジェクトとして提案されました。

 

会津若松市IT産業振興担当の江川さん

 

その他にも、いくつもプロジェクト案が提案されました。これらはホワイトボードに書いてゆきました。

 

プロジェクトの候補

この中から、

・畑Q&A

・行政情報の公開サポート

・ソーシャルコミュニケーション

・助っ人探し

・放射線関係(API、ガイガーカウンター、Androidアップローダー)

のプロジェクトについてディスカッションをしようというメンバーが集まりました。

このように具体的なアイデアが提案されてきたのは、やはり被災地に近い土地での開催ならではだと思いました。

風評をふっとばせ隊

 

行政情報公開

 

放射線関係

 

クラスメイトファインダー&コミュニケーション

 

あいづっぽ(ボランティアマッチングサイト)

 

ディスカッション後、5分間のライトニングトーク形式でチームごとのプロジェクトの計画が発表されました。

どのチームも、とても良い発表でしたので、ぜひ録画をご覧ください。

 

<a href="http://www.ustream.tv/recorded/14853703" class="broken_link" rel="nofollow">Ustream動画</a>

ディスカッション結果の発表

 

この後、明日には参加できない方もいるのでメンバーの調整などをして、一日目のアイデアソンは終了しました。

各地との中継などで手間取ってしまったことは残念ですが、何とか成功させることができたと思います。

参加されたみなさん、おつかれさまでした。ありがとうございました。

 

この夜は会津のみなさんとの懇親会がありました。

会津は食べ物が美味しく、名物の馬刺と蕎麦をいただきながら、夜更けまで語らいました。

 

会津の仲間たちと

 

 

Hack For Japan スタッフ 石野正剛

 

つづく

第2回アイデアソン・ハッカソン 会津若松のレポート(その1~ラジオとの連動)

こんにちは。Hack For Japanスタッフの石野です。

先の週末にHack For Japanのアイデアソン・ハッカソンというオフラインイベントが全国で開催されました。
私は福島県会津若松会場でのイベント運営をお手伝いしてきましたので、ここで報告させていただきます。

私はこれまでにも、会津にオートバイで行っています。ここは雄大な山々に囲まれ、美しい水もあり、いつ行っても気持ちのよい風景が迎えてくれます。会津地方の中心地である若松は会津藩の城下町として盛えた歴史のある街でもあり、以前から訪れてみたいと思っていましたが、いつも山中にテントを張っていたため、会津若松市内を訪れるのはこれが初めてでした。

磐梯吾妻スカイライン

磐梯吾妻スカイライン

また、私はHack For Japanに参加している開発者として、放射線情報に関する携帯アプリプロジェクトを展開しています。このために現地に近い方々の声を聴いてみたいということもあり、今回の会津訪問は待望していたものでした。

5月20日金曜日の夕方、私は横浜の自宅をクルマで出発しました。

今回のイベントでは「オールナイトニッポンGOLD app10.jp」というラジオ番組との連動企画があり、この夜19時からの打ち合わせでどのように番組を組み立てるかを話し合うことになっていました。app10.jpは「スマートフォンで人と人とがつながることで、幸せが生まれる。アプリは、人を幸せにする。」というテーマで一月ほど前から始まっていた番組です。ニッポン放送さんも積極的に震災支援に取り組まれていて、義援金、家庭に眠るラジオ・乾電池を集めて被災地に送るというような活動をラジオのリスナーと共に実行されていました。またラジオは災害に強く、地域に密着した情報伝達の手段、娯楽として見直されているそうです。

ニッポン放送 東日本大震災 災害関連情報

今回はHack For Japanの及川さんと一緒に、会津若松に前日入りすることになっていました。六本木で及川さんと合流し、有楽町にあるニッポン放送に向かいました。ラジオを1242MHzに合わせると、プロ野球のナイター中継が聞こえてきました。「試合が延長になったら、番組の開始が遅れるんじゃないか」ということを気にしながら、ニッポン放送に到着しました。東京から会津若松まではクルマで4時間ほどかかります。番組の放送時間は22時から23時半までで、放送が終了してから出発すると、ほとんど眠らずに翌日のイベントに臨まなければならなくなります。ニッポン放送の方との話し合いの結果、番組の冒頭にスタジオでHack For Japanの活動、イベントの内容を紹介してから出発し、道中で及川さんが携帯電話から出演するという次第になりました。野球の延長の件を聞いてみたのですが、番組を放送している提携局には野球中継をしていない局もあるので、放送は定刻から始めるということでした。その場合は、ニッポン放送は野球を中継し、他局やインターネットではオールナイトニッポンが放送されるという、少しおかしなことになるそうです。

及川

今夜のゲスト

及川さんはかつてオールナイトニッポンの大ファンだったそうで、スタジオでは興奮していました。
いったん有楽町に出て食事を済ませてからスタジオに入ると、本番の放送が始まりました。

吉田アナウンサーとの対話によってHack For Japanの活動と週末のイベントの概要を紹介し、みんなが元気になるようなアイデアを全国のリスナーから応募してもらうことをお願いしてスタジオを後にしました。このとき、及川さんのリクエストでPerfumeの『レーザービーム』が流されていました。

ニッポン放送スタジオ

ニッポン放送スタジオ

ラジオを聴きながら首都高を抜けて東北道に入り、蓮田に差し掛かったころに吉田アナウンサーと電話が繋がりました。

吉田アナ)「どんな人でも笑顔になれるアプリを考えたときに、ダジャレ・アプリはどうだろう。日本中の人の力を結集してダジャレ・クラウドを作ろう。」

及川)「単体で動くものよりもクラウド(cloudではなくてcrowdの方)、人の力で何かするというのをやると非常によいと思う。こういった時って、人と人とが繋がる、作った人の姿が思い浮かぶことは大事だと思う。」

という風に話は盛り上がり、リスナーはダジャレをどしどし送ってくださいという流れになりました。それから全国のリスナーからダジャレが届けられるとともに、誰でも参加できる気軽さ、ネタの評価の仕組み、投稿のしくみなど、ソーシャルな要件も追加されてゆきました。そのころからクルマは栃木の山中に入り、ラジオと携帯の電波が届きにくくなりました。番組の終盤、二度目の電話の時には絶妙なタイミングで通話が切れてしまいましたが、明日からのイベントでのダジャレ・アプリ開発への期待を膨らませつつ、app10.jpの放送は終了しました。ニッポン放送のみなさん、吉田アナウンサー、ありがとうございました。


<a href="http://www.ustream.tv/recorded/14831855" class="broken_link" rel="nofollow">Ustream動画</a>

この放送ではリスナーから、ダジャレの他にもいくつもアイデアが寄せられていました。

アプリ動物園、しりとりアプリ、元気が出る川柳アプリ、なぞなぞアプリ、明るいニュースまとめアプリ、落語アプリ、変顔アプリ……

及川さんと運転を代わりながら深夜の高速を飛ばし、2時過ぎに会津若松の宿に着きました。
この宿にはラジウム泉大浴場があるのですが既に終わっていました。私たちは乾杯もせずに明日の準備をして、程無く床に就きました。

つづく