Hack For Japan 岩手沿岸部取材レポート

未だ大量に残る瓦礫(陸前高田周辺)

スタッフの関です。

Hack For Japan メンバーである岩切さん(@kohsei)のコーディネートで、6/25(土)、26(日)とHack For Japan 数名で岩手沿岸部を取材してきました。被災地沿岸部を見てきたと同時に、5つのボランティアセンターで取材をさせていただきましたので、レポートとして記録しておきます。主に、Hack For Japanとして、被災地の為にITを活用したお手伝いができるかどうかをヒアリングさせていただいています。
たった2日の取材でしたので、現地の状況を完全に把握したレポートではありません。その点はお含みいただいた上でお読みください。
今回は、釜石→大槌→大船渡→陸前高田というコースを回ってきました。沿岸部の状況を、ご自身も被災されたという小野寺さん(@onoderau1)にご案内・解説いただきました(小野寺さん、お忙しいところどうもありがとうございました!)。同時に、釜石、大船渡、陸前高田のボランティアセンター、住田基地及び遠野まごころネットで、担当の方にお話を聞いてきています。

前線のボランティアセンターへのIT導入は継続的なサポートが必須

釜石市ボランティアセンター

前半におじゃました釜石、大船渡、陸前高田の3つのボランティアセンターは前線基地といった位置付けで、瓦礫撤去、民家や側溝の泥出しなどの作業のニーズ集めと、そこへ派遣するボランティアスタッフの割り振りを行うのが主な役割です。それに対し、後述する住田基地と遠野まごころネットはそれらのボランティアセンターの後方支援基地にあたり、ボランティアスタッフの宿泊施設や情報交換所として機能しています。いずれも社協(社会福祉協議会)が場所やスタッフを提供していますが、スタッフには、社協から派遣された人以外も多いそうです。

どこのセンターでも、

  • ボランティア志願者が減ってきている
  • 避難所から仮設住宅への引越しがだいぶ進んでいるが、仮設住宅へ移った人からのニーズ収集が難しい
  • 情報発信はしたいが、問い合わせの電話が掛かってくると貴重な回線が埋まるので、バランスが難しい
  • 情報の鮮度のコントロールが難しい(現地の状況は日々変わる)

という課題は抱えているという印象でした。それぞれのセンターの詳しい情報については、下の方の取材メモをご確認ください。

前線基地では現地ニーズの把握と人員のディスパッチが最優先で、その作業に毎日追われている状況のようです。ブログは運営できていますが、スタッフがどんどん入れ替わることもあり、何かIT系のツールやサービスを提供したとしても、操作に習熟が必要な類のものは導入が難しいと感じました。
そもそも担当者も忙しく、外部からニーズ把握などのコミュニケーションをすること自体が先方の負荷になってしまう状況です。ただ、物資をブログで募集したところ、数日で想像以上に届いたという経験もあり、IT自体の有用性は現場の方も把握しているようです。

中長期で現地に滞在できる方や、定期的に現地を訪れることが可能な方であれば、ITを使って活躍できる余地は十分にありそうでした。私の知っている限りでは、トライポッドワークスの佐々木さんや、マイクロソフトの西脇さんなどはまさにそのような活動をされています。この日も、釜石で取材をしている時に西脇さんにばったり遭遇したりといったことがありました。

その後実施したHack For Japan のスタッフミーティングでは、Eye-fi カードの自動アップロード設定をしたデジカメを渡して、それを使って、支援者に知ってほしい情報を撮影してもらうというアイデアが出たりもしました。これは早速次回アイデアソンで導入を検討することになりました。

後方支援基地は、ITサポートでできることがたくさんありそう

遠野まごころネット

住田基地と遠野まごころネットは物資/人員の補給基地であると同時に、情報共有の場所でもあります。宿泊施設も兼ねているため、前線基地よりヒアリング効率がいいと感じました。スペースも広く、会議をやる場所などもあります。なにより、各地に行ったボランティアから情報が集まってきており、その情報は綺麗に紙にまとめられていたりといった点も良いと思いました。
担当者の方々も、現地ボラセンより中長期的な視点を持っており、ITの必要性も強く認識されていました。
特に、遠野まごころネットで対応いただいた、副代表の多田さんからは、いくつかの具体的なニーズをヒアリングできました。(仮設住宅データベース、ホームページ作成、ソーシャルファンディングなど)

至る所に様々な模造紙が

まごころネット発で生まれている被災地支援企画や別の地域の支部などもあり、社協が担当する「ボランティアのディスパッチ」という枠を超えた活動を行っている点も、IT技術者としてお手伝いできそうな部分が多くありそうに感じました。とてもHack For Japan と相性がよさそうです。
個人的には、遠野や住田基地には1日百人単位でボランティアが集まってくるわけですので、そのリソースを、少しでもIT支援に向けても活用できるプラットフォームが作れればすごいことが出来るのではないかと感じました。

余談ですが、この遠野まごころネットは、ボランティアスタッフの自己組織化がとても素晴らしいと感じました。私自身 sinsai.info という、ボランティアスタッフが運営する組織の責任者をやっていますが、通常の会社組織と違い、ボランティアスタッフの組織というのは非常に運営が難しいものです。給料を払っているわけではないですし、人材の流動性もとても高い上、スキルもモチベーションも人それぞれです。私達は数時間の滞在中でも、時間が来たら自発的にミーティングを始めたり、至る所に情報が綺麗に整理された張り紙があったりと多くの工夫の跡を発見することができました。

Hack For Iwate in 遠野まごころネット開催決定

我々Hack For Japanとしてもまずはこのニーズに答える動きをしてみたいと思い、多田さんのご協力の元、遠野まごころネットで 7月23日、24日とアイデアソン/ハッカソンを開催することになりました。もともと東京や仙台、会津若松にて23日、30日の日程でやる計画でしたが、遠野会場が追加され、遠野のみ23日、24日の2日間で開催いたします。

告知用ポスター(PDFリンク

5月に仙台、会津若松、東京など複数の都市で行われ好評だった、復興支援アプリケーション開発の為のオフラインミーティング、Hack For Japanのアイデアソン/ハッカソンが、いよいよ岩手県内最大のボランティアセンターである「遠野まごころネット」で開催されます。今までも複数の有意義なプロジェクトがHack For Japanから生まれています。皆様是非ご参加ください。
会場には、チューターもいますので、初めての方や、開発者以外の方もお気軽にご参加ください。 開発に関する質問は、ネットを通じて投げかけることも可能です。また、プロジェクトを進行中の方も、情報交換・協力者探しの場としてもご利用いただけます。当日は、独りで自分のプロジェクトの開発作業に没頭することもできますし、あるいは、チームに加わって共同開発に参加することもできます。もちろん、プログラマに限らず、企画やデザイナが得意な方、パソコン操作に長けている方を、歓迎しています。どちらか一日のみといった参加も可能です。



ご興味のある方は、是非告知ページにて詳細をご確認ください。
私も遠野会場には参加します。個人的には、これまでのハッカソンのように新しいサービスを作ったり新規のアイデアを実現していくというよりも、既存のツールなどをうまく組み合わせて、先方のニーズに答えていくような場にしたいと考えております。

以下、取材メモ

■釜石市ボランティアセンター
http://blog.canpan.info/kamaishi-vc/

  • 避難所の人数は1万人弱→820人に減少した状態。
  • ボランティア人数は、1日あたり男性50人。女性70人等。通算14800人。 国内外のいろいろな種類のカップラーメンが届いたことで、全国・海外から支えられていることを実感した。
  • 行政から住民に対して、未来の夢や、今後の計画が示されていないと感じている人が多い。
  • 仮設住宅に移り始めて、被災者のニーズが多様化してきている。(心のケアなど。自殺者も出る。)
  • もともと、岩手は自殺者数で全国ワースト2。(1位は秋田)
  • 一つの集落だったのが、各地の仮設住宅に移ってしまった為、分散し、コミュニティが崩壊している。
  • いつまで続くのか、終わりが見えず、不安が募る。 (ゴールがないので、進捗率が把握できず、モチベーションが維持できない)
  • マスコミ各社からのTELが多く、対応に時間が取られてしまう。 「土嚢袋が足りない」とインターネットで発信したら、 土嚢袋が数万単位で届いた。数週間届き続けたので、記事から消した。余った分は、周辺の地域に配分した。 (インターネットを活用できた成功体験を得たのと、操縦の難しさを知った)

■大船渡ボランティアセンター
http://ameblo.jp/ooshakyo/

  • あえてPCを使わずに手書きで書いて、印刷した「社協だより」を発行。
  • 市からは、情報が全く降りてこない
  • スタッフが、直接、避難者に聞いて、ニーズを吸い上げている。(ex. 個人宅の泥出し)主な作業は、瓦礫撤去、泥出し、側溝の泥掻きなど
  • 心のケアの問題もあるが、専門的な分野でもあるのでそもそもボランティアセンターだけでできる仕事ではない。声掛けをしたところで、対応できないなら同じ

■陸前高田ボランティアセンター
http://rikutaka.ti-da.net/e3439670.html

  • 現地の状況は刻々と変わり続ける。 最新の情報にアップデートし続けることが大事。
  • TEL で「状況を教えて」と言われても、対応しきれない。 状況を知りたい場合は、ボランティアセンターに常駐して欲しい。
  • 情報をアップデートしたとしても、単発で終わっては駄目。それを解釈、分析をして、今必要な情報を出す人が必要(広報作業)
  • 例えば、たまたまボランティアが多い日にボランティアに行った人が、「人は足りている」という情報を流したたとする。次の日は人が足りないかもしれないし、細分化したスキルで見るとそもそも足りていない部分もあるかもしれない。それなのに、「人が足りている」という情報が一人歩きすると困る。
  • とにかく「現地目線」で情報公開出来る人が必要。マスコミなどは、結局外の人が欲しい情報しか放送しない。

■住田基地(陸前高田・大船渡へのボランティア派遣基地)
http://sumitavc.blog.fc2.com/

  • 陸前高田・大船渡は、重機を使った瓦礫の撤去が一段落して、これからがボランティア活動の本番になる。
  • 4月25日に150人のボランティアが泊まれる基地を設置。
  • 10名のスタッフで運営(フルタイム3人)。パソコン3台。光ファイバは開通済らしい。
  • 夜は、泊まっているボランティアの9割が参加する懇談会で、 各地の状況や活動内容についてフィードバックを得て、次の派遣に活かそうとしている。 ブログからの情報発信は、ボランティアのメンバーの中でやってもらっている。
    (案→ボランティアで来た人が情報発信できるパソコンがあればいいのに)
  • 夜に、ボランティアに行った人と飲みながらコミュニケーションする。
  • 有益であれば、チラシなどは置いてもいい

■遠野(遠野まごころネット。陸前高田から山田までの広域の後方支援)
http://tonomagokoro.net/
ビジョンのPDF→https://lolipop-tonomagokoro.ssl-lolipop.jp/main/wp-content/…
Facebook https://www.facebook.com/tonomagokoronet

  • やってほしいことはたくさんあります。
  • 現行のホームページでは、やりたい情報発信が全然できていない ニーズをヒアリングして、作ってくれる人が欲しい(ディレクション出来る人が不在)
  • あまり多くは出せないが、給与を出すことも可能。
  • Microsoft Access で、仮設住宅の団地毎の情報を集積中。入力した情報をアップデートし続けることが課題。(操作できる人が限られる)
  • これまでの各地での災害支援で得られてきた教訓で、今回も活かされていない点がある。今回、得られた教訓は、風化させずに次回に活かすように、残したい。
    (案→これは、デジタル化して、インターネットが活躍できそう)
  • 最近、関東での関心は20分の1くらいでは。 関東では街中でチラシを配っても、受け取ってもらえなくなった。
  • ブログで情報発信中。1日3万ページビューある。
  • インターネットでもっと情報を発信したいが、ウェブができる人がいない。
  • 継続的に発信するためには、資金が必要。(案→シャープな目的を出せれば、ソーシャルファンドがマッチしそう)
  • 仲間となるネットワークを他の地域にも広げていきたい。

    Hack For Japan 岩手沿岸部取材レポート” に1件のフィードバックがあります

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