第2回アイディアソン、ハッカソン 仙台会場からのレポート

運営スタッフの高橋です。
以前仙台に住んでいたことがあり、妻の実家も仙台にあることから、今回は仙台会場でチューターと参加して参りました。
Hack For Japan としては3月に続いて第2回目のアイディアソンとハッカソンです。
前回は震災発生からまだ間もない頃で東京でさえオフラインでの開催が出来なかった状況でしたが、今回は東京に加えて仙台と会津若松という東北の2都市で開催出来たということは、現地の声を聞くという点でも大きな意味のあることだと思っております。
何より現地のエンジニアコミュニティの皆さんが「ぜひ仙台でもやりたい」と、積極的な協力を頂くことで開催に漕ぎ着けることが出来ました。
訪れた仙台の中心部は、2ヶ月前にあの大きな地震があったということを忘れてしまいそうなほど街にも活気がありますし、一見は普通の状態です。しかし仙台駅は外壁補修中で工事の幕がついており、活気を取り戻しつつも決して忘れてはいけないのだということを感じさせられます。
会場から見下ろした杜の都仙台の欅並木。中心に見えるのが仙台駅で本来はレンガ色の外壁ですが灰色の幕で覆われています。
今回、我々運営スタッフも各地をリアルタイムに繋いでハッカソンを行うというのは初めての経験で、実際のところ裏では「仙台、ちょっと押してます」とか「会津は時間通りOK」などのメッセージが飛び交ってドタバタする場面もあり、進行がスムーズに出来ていなかった部分が多々あったかと思います。
アイディアソン
各開催拠点から交互に中継を行い、仙台からはマイクロソフトの西脇さん、地元のIT企業であるトライポッドワークスの佐々木さんの話を配信しました。
マイクロソフト 西脇さん:
エバンジェリストという立場から被災地支援活動を積極的に進めており、Hack For Japan の運営スタッフでもあります。
  • 避難所は文字の山で、掲示板には、いつ、誰が貼ったのか分からないような物もあり、本当に必要な情報が埋もれてしまう可能性もある。
  • マイクロソフトを始め、様々なメーカー、団体がパソコンを寄贈してはいるが、なかなか有効活用されていない状況。
  • 津波の後、電線は直ぐに引かれたが、そこに光ファイバーは含まれていない。IT はまだインフラではないという実情。
しかし、現地に行くと IT で出来ることは沢山あるとのことで、名簿作り、ボランティアの皆さんの活動状況の整理等、ITに詳しい人間が見ればすぐ解決出来るようなことは多々あるそうです。
トライポッドワークス 佐々木さん:
震災以降、精力的に IT による復興活動を推進されており、沿岸部の被災地等にも出かけて避難所の皆さんとの対話もされています。(ブログはこちら
冒頭では3/11の地震発生時のオフィス内の動画を見せて頂き、あの時の揺れの力がどれほど大きいものだったかと改めて思い知らされました。
また、南三陸のあるご年配の方のところを何度も訪れているとのことで、きっかけは、その方の娘さんがテキサス在住で、twitter で現地の様子を見てきて欲しいと頼まれたことだったそうです。
「被災地域の最前線にITは役に立たない、ましてやスマートフォンの普及率も低いため twitter なんて…」とは良く言われることですが、直接ではなくても、この事例のように繋がることがあるのです。我々スタッフ自身も、これまで仙台や会津若松を訪れると ITに出来ることの壁を感じて悩むこともありました。しかし、何事もあきらめたら終わりなのだと言う気持ちを持つことが出来たように思います。
他にも東北のIT産業の厳しい現状等も伝えて頂いたのですが、佐々木さんからは最後に
「技術者のみなさん、東北のIT業界の可能性を追求しましょう!」
という力強いメッセージがありました。Hack For Japan も少しでも力になることが出来ればと思っております。
アイディアソン取りまとめ時点で絞られたテーマは5つです。
各チーム名のリンク先に発表資料があります。
ボランティアしたい人と、してほしい人を繋ぐプロジェクト
絆レポートチーム
チェックインレポートプロジェクト。モデレータを置いてチェック、重み付けを行う。ラジオ番組と連携することで良いスパイラルを産む。Hack For Japan 運営スタッフで sinsai.info の責任者でもある関さんがこのチームに参加しました。sinsai.info のブログにレポートが投稿されています。
物質、トレーサビリティ、マッチングでブトマ。物資が何処で止まっているか分かる仕組みを作る。
目的は風化防止。復興をエンタメに、本当の被災地の姿を見てもらう。例えば androidのwallpaperとして出して海外にも見てもらいたい。
人をhackする。如何にして被災地の人にITを使ってもらうかというテーマ。
ハッカソン:
ハッカソン当日、仙台は朝から生憎の雨でしたが、多数の方にお集り頂きました。
前日のアイディアソンはエンジニアではない方々にも来て頂いてアイディアを募るという趣旨でしたので、若干参加メンバーに相違がありましたが、5つあるうち1から4の4つのテーマをアイディアソンにて引き続き取り組むことになりました。
また仙台会場ではちょうどアイディアソンと同じ日に開催された「オープンソースカンファレンス2011仙台」  と連携し、そちらに来場された方からも復興支援のアイディアを募ったところ多数のテーマを寄せて頂きました。それらの中から、何故か(!?)会場の食いつきが良かった、「No More 婚活自粛」というテーマを1つのチームが実際にハッカソンで取り組みました。
@Hack4Miyagi を見て頂くと【OSC会場】という項目で幾つかのアイディアが上げられています。
Hack For Japan のハッカソンは、復興支援は継続性が大切という考えから「必ずしも今日中に完成させる必要はない、これをきっかけに継続して取り組んでもらえれば…」という方針で進めていますが、それでも午後3時を回った頃からはだんだんと参加者の皆さんの表情の真剣度が増して行きます。
ハッカソンは通常最後に各チームの成果発表を行いますが、今回は複数拠点で連携開催しているため、まずは各会場で成果発表を行ってその中から1チームを選抜し、その選抜されたチームの発表を各会場で相互に中継を行うという方法を取りました。
仙台会場で選抜されたのは「復興時計」チーム!

チームの皆さんは「まだモックアップのような状態で…」と謙遜されていましたが、Android 版と iPhone 版両方のプロトタイプアプリケーションのデモがあり、しっかりとデザインされた画面を見ることが出来ていました。

終了後、参加者全員で撮った写真です。
皆さんとても良い顔をして写っています。この繋がりを大切にし、仙台から IT による復興の支援を今後も継続していくことが出来ればと思います。
Hack For Japan スタッフ 高橋憲一

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